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『小説』 無題 7

ようやく結子は、浜木の言った言葉を理解した。

 

しかし、意味は全くわからなかった。

 

「どういう意味ですか?私を買いたいんですか?これから先、あなたの娼婦になれとでも言うんですか?そういう女だから、簡単にできると思ってるんですか?」

 

「そんな意味じゃないよ。結子ちゃんはさあ、あ、結子ちゃんて呼んでいいよね」

 

「もう呼んでますし、いいですよ」

 

結子は、ぶっきらぼうに答えた。

 

「結子ちゃんは、本当は、今のような生活から抜け出したいって思ってるでしょ」

 

「思ってますよ。だから何ですか?私の表情を見れば、誰だってわかるでしょ、それくらい」

 

「じゃあ結子ちゃんは、結婚しないつもりなの?多分、僕と同じくらいの年齢だよね」

 

結子は何だか、ひどく腹が立ってきた。

 

「私はもう歳だし、過去にそんな事があったなら、結婚できるわけがないって事ですか?」

 

浜木は、急にだまり込んでしまった。

 

結子は、ちょっと言いすぎたかな、と反省した。

 

でも、結子のことを傷つける様なことばかり言うのだから仕方ない。

 

話をしていない時の浜木は、いい人そうで、けっこう格好いい。

 

結子は、ぼんやりと浜木を見つめていた。

 

するとその視線が、浜木と重なった。

 

結子は、すごくドキッとしてしまった自分が恥ずかしくなった。

 

そして浜木は、おもむろに話し出した。

 

「僕、けっこうひどい事言ってるよね。ごめんね」

 

「・・・。」

 

「本当に傷つけるつもりはないんだ。ただ、もうキャバクラなんかで働いて欲しくなくて」

 

「私がどこで働くか、浜木さんにどうして関係あるんですか?」

 

心なしか、少し優しい口調になってしまった。

 

「僕のそばにいて欲しくて」

 

「私のこと、好きってことですか?」

 

「それが良くわからないんだ」

 

「わからないのに、そばにいて欲しいなんて言うんですか?」

 

「だから、結子ちゃんの人生を買いたい。ダメかな」

 

「人の心は、お金では動かないですよ。少なくとも私は」

 

「知ってる」

 

知ってるって、どういう意味だろう。さっきから、たまに言う「知ってる」という言葉が、結子は気になった。

 

「僕は、結子ちゃんを養えるだけの収入はあるし、ただ、いてくれるだけでいいんだ」

 

「ただ、いるだけ?」

 

「そう、家事もセックスもしなくていい。だから、僕のそばにいてくれないかな。結子ちゃんの人生が欲しいんだ」

 

こんな事を言ってくれる人は、たぶんもう、私の人生では現れないだろう、と結子は思った。

 

ただ、なんでそんなに結子にこだわるのか、その理由が知りたかった。