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カラスの的確な復讐に現代の人間社会の縮図をみた怖い話

うちのすぐ裏には山がある。

その山からタヌキが降りてくることもあるし(これが可愛い)、虫もわんさかやって来る。

そんな中でいちばんの強敵はカラスだ。

 

そんなカラスの的確な復讐に、まさに現代社会の縮図をみたような気がした。

 

うさぎを守るという使命

ワタシは可愛いうさぎと一緒に暮らしている。

このうさぎのためなら、ワタシは命を懸けてもいいと思っている。本気で(マジで)。

 

今は冬だから窓を開けることはないが、春になるとカラスがうさぎを狙ってくる。

うちにうさぎがいることを確実に理解している。

もちろんうさぎが、自分たちの獲物であることも理解しているだろう。

 

だからワタシは、うさぎを守るためにカラスを威嚇する。

カラスがベランダの手すりに来ると、すかさず威嚇して追い払う。

ベランダの軒に来ると、大きな音をたてて窓を開け脅す。

 

そんなことが数年続いている。

 

冬は窓が開いていないから、ベランダにカラスが来ても大目に見ることがある。

しかしワタシはふと思った。

「冬の間にカラスを甘やかしたら、春になってから調子に乗るのではないか?」と。

 

だから冬でも油断はできない。

ワタシは、いつものようにベランダにやって来たカラスを追い払うため、窓を開けた。

 

そして「シー」と嫌な音を口から出し、思いっきりカラスを睨みつける。

するとカラスは反射神経よく、近くの電線の上へ飛び去って行った。

 

しかしその電線にはもう一羽のカラスがいて、二羽そろってワタシの方を睨み返している。

その姿はまるで、いじめっ子が集団で誰かの悪口をヒソヒソ話しているようだった。

 

「あいつさぁ、マジむかつくんだけど」

「今度イタイ目見せてやろうぜ」

みたいなやつ。

 

ワタシは思わず「カラスって表情あったっけ?」と感じてしまうくらい、本当に陰険な顔をして、こっちを見ている。

そんなカラスが、一瞬人間に見えた。

 

カラスの知能は高いと言うが……

カラスは頭が良いと言う。

でも、その時のワタシはあまり深く考えていなかった。

「所詮カラスでしょ。うちの周りでカァカァ鳴いてるのがオチだろう」

と思っていた。

 

しかし甘かった。

 

その数時間後に買い物に出かけるため、ベランダとは反対側にある玄関を出た時のこと。

玄関のドアを開けた瞬間、ちぎられた紙袋やビニール袋が散乱していたのだ。

 

その切り口は、人間が手で破ったものではないことは、すぐにわかった。

「カラスだ!」

 

ワタシはどうやら、カラスの知能を甘く見ていたようだ。

カラスが人間を覚えているというのは知っている。

実際それで襲われている人を見たことがある。

 

しかしまさか家を見極めて、しかも「ベランダとは反対側のものを荒らす」ということまでできる知能があるとは思っても見なかったのである。

 

その時ワタシは、さっきの陰険に睨み返してくるカラスの顔を思い出した。

そして背筋がゾワ~っとして、すごく嫌な気分になった。

 

「これはまるで、嫌なことをされたら復讐をする人間社会そのものではないか!」と感じたからだ。

 

会社での嫌がらせ、近隣トラブル、痴情のもつれなど。

人間は、さまざまな感情を抱えながら生きている。

 

その中でも、妬み、恨み、羨み、憎しみなどのドス黒い感情は、復讐というカタチで波乱を巻き起こすことが多い。

時にそれは、犯罪になることもあるくらい強い感情だ。

 

そんな複雑な感情をカラスは持っているというのか?

にわかには信じられなかったが、その時まさに人間社会の縮図を見たような気がした。

 

「こんな復讐してくるなんて、人間と同じじゃん」

それがその時のワタシの率直な感想だった。

 

これからは、むやみにカラスを威嚇するのはやめよう。

それはカラスが怖いわけではない。

 

うさぎが狙われたら怖いからだ。

もしうさぎがカラスにやられたら、ワタシの復讐は決して生ぬるいものではない。

 

ワタシを本気で怒らせたら怖いということを、きっと奴らはまだ知らない。